フクロウの飼育は初心者だと大変?費用や環境、餌のやり方などを公開
くりくりな大きな瞳に、ふくふくとした愛らしいボディフォルム。
愛らしすぎる姿で魅了する森の賢者こと、フクロウに注目が集まっています。
最近ではフクロウと触れ合えるフクロウカフェが人気を博し、フクロウを飼育する人も増えてきました。
しかし、犬や猫と違ってフクロウの飼育方法は少し特殊です。
そこで、フクロウを飼いたいと思っている方へ向けて、ベンガルワシミミズクとメンフクロウを飼育していた筆者が飼育方法やかかる費用などをお伝えしていきます。
フクロウの飼育は初心者でも可能?
初心者でもフクロウを飼育することは可能です。
ただし、初心者に飼いやすい種類・飼いにくい種類があるので要注意です。
また、フクロウは犬猫のように人間にかまってほしいと思う生き物ではないと心得ておきましょう。
あなたの都合で可愛がるのではなく、フクロウが過ごしやすいことを優先して、時折触れて“可愛がらせていただく”という心構えでいるのがいいです。
もうひとつが、餌の問題。後ほど詳しく説明しますが、フクロウの餌はドライフードではなく、ひよこやマウス、ウズラを食べます。
しかも、肉の状態で販売されているわけでなく、死んだそのままの姿で冷凍保存の状態で販売されているので、餌を捌くのは正直グロテスクです。
これを乗り越えられなければ、フクロウを飼うのはかなり厳しいので、問題ないか確認しておきましょう。
その他、さまざまな注意点と用意すべきことがたくさんあるので、以下をチェックしてみてください。
フクロウの飼育で大変なこと
どんな生き物を飼育するにも大変なことはあります。
フクロウも同様に大変なことは様々ありますが、そのなかでもフクロウだけにある飼育の大変さをお伝えします。
飼育方法がさまざま
犬猫ハムスターなどと違って、フクロウを家庭で飼育している人はまだまだ少ないです。
「これが絶対に正解の飼育方法である」というのが、明確には言えないのが現状です。飼い主や種類によって適切な飼育方法への見解が異なるので、難しいところでもあります。
現状ある飼育方法は4つあります。フクロウに足革を装着して止まり木に結んで飼育する方法の係留飼育、猛禽専用のケージで飼育するケージ飼い、飼い主が在宅中は放し飼いで就寝時や不在時は係留する半放し飼い、フクロウだけが過ごす部屋で放し飼いにする完全放し飼いの4タイプがあります。
種類や飼い主のライフスタイル、環境によりますが係留飼育を選ぶ人が多いようです。
餌問題
前述でも説明したとおり、フクロウは猛禽類なので肉食です。
そのため、ドライフードではなく冷凍のひよこやマウス、ウズラを解凍&解体して与えます。
手間暇がかかるので、それを乗り越えられるかがカギです。
掃除問題
種類問わず、鳥類を飼育したことがあるは知っているかと思いますが、鳥は糞尿以外にも細かい羽根や脂粉を落とします。
フクロウともなると、さらに量が多くなるので掃除は本当に大変です。
たとえ部屋の一角にフクロウを係留していたとしても、部屋全体に羽根や脂粉が舞うくらいです。
掃除が苦手という人は飼わない方がいいと思います。
メンテナンスが命がけ
フクロウも犬猫のように、爪切りをする必要があり、それに加えて嘴も月に1回は切ってあげなければいけません。
嘴が伸びっぱなしなのを放置すると、餌が食べられなくなります。
また、繋いでる足革も硬くなってくるので定期的に交換・メンテナンスが必要です。
これらのお世話は容易なことではなく、時には事故につながってフクロウが亡くなるケースもあります。
自分では難しい場合は、月に1回信頼できる獣医師にお願いしましょう。
フクロウの飼育にかかる費用とは?
フクロウを飼う際の初期費用のほとんどは、フクロウそのものの代金です。
なので係留飼育するなら、50~60万円あれば大体足りると思います。
月々の費用は、餌代、ペットシーツ代、エアコン代(室温管理)、メンテナンス代などで2万円くらいでしょうか。
その他にも、ケージ飼いにしたいならケージ代、グローブを買い替えたり、フクロウ専用の部屋にカスタマイズするなど、やろうと思えば費用はどんどんかかります。
また、動物病院代は数万円かかるので、病気やケガをすれば都度費用が必要です。
なので、収入に不安があるなら飼わない方がいいでしょう。
フクロウの飼育用品ってどんなものがあるの?
フクロウと暮らすために必要な飼育用品に関して、以下のものは必ず用意してください。
- ▼パーチ(止まり木)
→フクロウのお家。安心して止まれる場所に設置しましょう - ▼アンクレット(足革)
フクロウの脚に着用する足革です。着けっぱなしだと皮に癒着するので、1年に1度交換が必須 - ▼ジェス(足革)
アンクレットに通して手綱となる部分 - ▼係留紐
係留紐と呼ばれるリーシュは、放し飼いをしない飼い主には必須アイテムです。フクロウが飛んでいかないように、パーチに結んで使用します - ▼ペットシート(新聞紙も可)
フクロウにはトイレのしつけができないので、フクロウがいる部屋の行動範囲すべてに敷くのがベスト。ただし糞尿はべちゃっと水っぽいので、新聞紙のみだと床に浸みるので注意 - ▼猛禽用グローブ
猛禽類を据えるためのグローブで、利き手とは逆の手に着用します - ▼キャリーバッグ
動物病院やショップに爪や嘴を切りに行く際に必要な移動用のバッグ。犬猫用のキャリーバッグを流用することも可 - ▼餌
ひよこ、マウス、ウズラです。下処理済のものも販売されていますが、ダメになっているものが混入していることが多いので、飼い主が最初から処理をするのがベスト - ▼餌解凍用の容器や皿
人間が使うタッパーなどでOK。 - ▼ピンセット
餌をあげる時に使用します - ▼保冷バッグ
餌をショップから持ち帰る際に必要です。通販で購入するなら必要ありません - ▼餌保管用の冷凍庫
人間と同じ冷凍庫に入れてもいいですが、フクロウの餌を冷凍庫に入れても抵抗感がなければ必要ありません - ▼水浴びグッズ
フクロウは水浴びをすることで清潔さを保ちます。なので、霧吹きで水をかけてあげたり、桶に水を張って浴びさせても良いです。 - ▼体重計
体重管理もお世話のうちのひとつ。家庭用のキッチンスケールでOKです。乗せるところに人工芝を敷いてフクロウを乗せます。 - ▼空気清浄機
抜けた羽や羽鞘、脂粉が広範囲に舞い散るので、空気清浄機があると便利。もちろんこまめな掃除も欠かさないようにしましょう
フクロウの餌について
ひよこ、マウス、ウズラが冷凍されたものを流水で解凍し、解体したものをあげる飼育者がほとんどです。
それ以外だと、ひよこなどを生きたまま餌として飼育して、自分で絞めて生餌をあげる飼育者のいます。その方が栄養価が高いと言われているからです。
捌き方はそれぞれによって異なります。
ひよこであればお腹にある卵黄は不要なので、お腹からお尻にかけてグッと押し、お尻から卵黄を出します。あとは不要な骨や羽、頭を落とします。
マウスはお腹を割き、糞が詰まった腸を取り除き、肉に分けます。うずらはお腹から開いて、羽・内臓・骨など不要なものを取り除き、肉の状態にすればOKです。
それぞれ調理ハサミを使うと捌きやすいです。
なぜ肉の状態ではなく未処理のままの冷凍餌が良いかというとその方が栄養価が高く、価格も比較的安価だからです。
処理が完了したら、ピンセットなどでフクロウの嘴まで運んであげてください。
嘴を上手に使って食べる姿は、とても可愛くて癒されますよ♪
フクロウの飼育環境について
種類や大きさにもよりますが、ほとんどが室内飼いです。
普通の住宅で飼育するなら、フローリングの部屋がおすすめ。
畳だとペットシーツを敷いたとしても、糞尿をしたときに片付けが大変&ニオイがつくので、あまりおすすめしません。
トイレのしつけができないので、フクロウが動けるすべての範囲にペットシーツや新聞を敷く必要があります。
日中は飼い主の目が届きやすい場所に係留したり、放し飼いしたりすれば、何かあった時にすぐ対応できます。
イタズラ好きのフクロウもいるので、誤飲しそうな物やイタズラされたくない物があるなら、必ず撤去しましょう。
ちなみに紐類も危険です。照明から垂れる紐やブラインドなどの紐も、フクロウにとってはおもちゃのひとつ。
最悪の場合、遊んでいるうちに絡まって死亡してしまうケースもあるので、撤去あるいは紐がないものに替えましょう。
一人暮らしでもフクロウの飼育はできる?
一人暮らしでもフクロウの飼育は可能です。
ただし、自分ひとりですべての面倒を見なければいけないので、それ相応の覚悟と準備が必要です。
まず、猛禽類を飼育可能な住宅を見つけるのも一苦労です。大家や不動産会社によっては、猛禽類のフクロウ=危険な動物とみなされて、NGなところも多いです。
やっとのことで家が決まっても、間取りが1Kだとさらに大変です。同じ部屋にフクロウと同居するので、部屋は汚れるし、夜中鳴き始めたり飛び回ったら、なかなか眠れません。
そういったデメリットも乗り越えられる自信があるなら、一人暮らしでも大丈夫です。
フクロウの種類や値段について
初心者に飼いやすいフクロウは、小型種よりも中型種といわれています。
中型種だと大体40万円前後で販売されていることが多いです。全体的な相場でいうと、一番安くて20万円前後、高くて100万円もする場合が。
初心者でも飼いやすいと言われいるのは、筆者も飼育していたベンガルワシミミズクとメンフクロウです。
耳のような羽角があるのがベンガルワシミミズク。
ベンガルワシミミズクは流通数の多い大型種なので、入手しやすさがあり比較的値段も抑えめです。
性格は賢く、人に慣れやすいので野外での据えまわしや飛行訓練もしやすいです。
リンゴの断面のような顔が特徴の中型種、メンフクロウ。
メンフクロウもベンガルワシミミズクと同様にかなり流通されている種類で、値段もお安めの種類です。
このユニークな顔立ちが可愛いのですが、逆に苦手という人もいるようです。
人気が高い種類は、フクロウ界のチワワとも呼ばれるコキンメフクロウです。
飼育者数も多く、SNSでインフルエンサーになっている人気コキンメフクロウもいるほど。
小さく愛らしい見た目とは裏腹に、気性が激しい性格という面もあります。
フクロウの飼育で後悔することはある?
筆者は後悔したことはありません。
たしかに糞や羽、脂粉などで部屋は汚れます。それに月1のメンテナンスは命がけで、ちょっとしたことで死んでしまうリスクも高いので覚悟が必要です。
しかし、それらは他の動物を飼育するのと同様に抱える問題でもあります。そこでためらうくらいなら、どんな動物であろうと飼う資格はありません。
フクロウとの生活は大変でありながらも、その大変さを上回るくらい可愛く、飼い主を癒してくれる存在です。
「フクロウが心の底から大好き!フクロウのしもべとして生きる!」くらい思えるなら、あなたはフクロウを飼育しても大丈夫でしょう。
フクロウの飼育は魅力満載!
軽い気持ちで生き物を飼ってほしくないので、厳しいこともお伝えしてきましたが、フクロウとの生活は本当に楽しいです。
はじめは、フクロウに「ただお世話係の分際で……」と思われていたのが、だんだん心許してくれるようになって撫でさせてくれたり、腕に乗ってくれた時は感動しました。
苦労して解体した餌を美味しそうに食べる姿も可愛いですし、時折イタズラっ子な顔でくわえた餌を目の前でペッとするのも可愛く思えます。
ぬいぐるみを与えたら、ずっとそれで遊んだり、どこへ飛ぶにもそれを持って移動する姿は悶絶級に可愛かったです。
これらの姿を見ると、日々のお世話はちっとも大変ではないと思えるから不思議です。
フクロウの飼育は大変さと比例して、楽しさや可愛さも同じように味わえるので魅力的な動物といえます。
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